こちらは、はとさん(@810ibara)主催のぽっぽアドベント2023の記事です。
11日目担当のるこです。今回のアドベントのテーマは「NEW WORLD」ということで、今年新しくやってみた試みについて書いていきたいと思います。
ピンホールカメラを知ってるかい
少し前から、またインスタントカメラとか写ルンですが流行ってきているらしい。スマホの写真アプリがどんどん高機能かつ複雑(というか、やっていることの複雑さがもう使い手側には分からない、完全なブラックボックス)になっていく中で、ああいうちっちゃくて玩具っぽい筐体のものでも写真が撮れちゃうことに面白さを感じる人も多いんではないか。
特に写ルンですなんかは一枚撮るごとにフィルムを巻くという操作が発生するのも、楽しさの一部かもしれない。
レコードやカセットテープの再熱なんかもそうなんだけど、針を落とす・再生ボタンをガッチャンって押す、っていう身体へのフィードバックが、再生されるにしたがって針が動いていくとか、テープが送られていくとかの動作原理にちゃんと紐づいて見えること、しかもそれによってメディアが消耗していく、ってところに一回性を感じる(=エモい)のかも。
で、そういうことの究極形みたいなものがあることを私は最近発見した。
それがピンホールカメラです。
写真は、黒い厚紙(右)や紙コップ(左)で自作したピンホールカメラ。
こんなのもうオモチャどころか、ただの箱。こんなただの箱で写真が撮れるというのか。もはやエモいというか謎い。
このカメラについて簡単に説明すると、箱の中には印画紙という光に反応する紙がカットして入れてあり、箱の前面には光を中に通すための小さい穴が開いている。穴から通った光が印画紙に当たることで撮影が出来る。以上。
仕組みとしてはマジでこれだけ。普通にその辺の紙箱に穴を開けるだけでカメラができてしまうとは。
やってみよう
そうとなれば、まずはやってみようという話なんだが、前述のようにピンホールカメラ本体を作るのは簡単。撮影も簡単。
厄介なのは印画紙の扱いと、それを現像するというパートになる。
現像は、皆さんもドラマで、ストーカーとかが赤い部屋で撮影した写真を現像しているシーンを見たことがあると思うが、まさにアレをやる必要がある。
アレはなんで部屋を赤くしているかというと、印画紙の性質で赤い光には反応が鈍いというのがあるらしい。つまり、撮影時以外で印画紙を扱う際、感光させたくないので赤い光を点けているのだ(完全な暗闇でも指先の感覚だけで作業できる人なら別に赤い光も点ける必要はない)。
暗室を作る
①真っ暗な部屋と、②赤い光、が用意できれば暗室になるということが分かった。
まずは真っ暗な部屋を確保しなくてはならない。というと大変そうだけど、これは意外と風呂場でいける(窓があるとちょっと大変かも)。風呂場のドアの外から光が漏れそうな部分を黒ガムテで全部塞ぐことで完全な暗闇が完成!押し入れでやる人もいるらしい。
次に赤い光。これは懐中電灯などに赤セロファンを被せるのでも良いらしいが、私は「お前、このためにあったのか」というぐらいピッタリなものを所持していることを思い出した。
推してるアイドル(JO1)のペンライト。
Bluetoothでアプリと接続すると自由に色が変えられる機能があるのだ!どうかんがえても暗室を作りだすための機能だろこれ。コンサート以外でもこんな所で役に立つとは。。
ここまでで暗室作りは完了。では具体的に現像ってどうやんの。。?
現像って家で出来るの?
現像には基本として3種類の薬品が必要で、すなわち①現像液、②停止液、③定着液である、らしい。
実はこれらの薬品自体はヨドバシカメラのカメラコーナーとかで普通に取り扱っていて、そこまで高価でもなかった。気になったのは、一応薬品なので、どうやって廃棄するのかな?という点。色々調べた結果、希釈して下水に流すとか、紙に吸わせて燃えるゴミに出すとかの方法があるけれど、最終的な判断は自治体に指示を仰いでねとのこと。(詳しくはこちらの記事が分かりやすかったです)
ところが、住んでいる自治体に買おうとしている薬品の成分のデータシートを添付して問い合わせたところ、うちではゴミ処理できないから捨てるなの一点張り。。
正直、趣味で現像する範囲の量ならそこまで有害性に神経質にならなくても、というのが常識的な見方ぽいのだが、かといって勝手に判断するのも。。と悩んでいた時に、特殊な薬品を使わない現像の仕方があることを知る。
コーヒー現像というものがある
コーヒー現像(またはCaffenol)で検索すると色々情報が出てくるのだが、前述した薬品を粉のインスタントコーヒー、炭酸ソーダ、粉末のビタミンC、水槽のカルキ抜きで代用するという手法である。
そんなホームセンターとか100均で入手可能なものだけで写真の現像が。。?いよいよプリミティブさがやばくなってきて興奮です。
印画紙を入手しろ!
ここまでの材料は身近で手に入るものばかりだった。唯一、印画紙は専門店等でしか取り扱いがなく、最近では供給の減少により価格も高騰しているらしい。
印画紙の相場をネットで調べてみると、100枚入りで1万円超えとかだったので流石にビビり、テストしてみるだけなら、誰かと一緒にやって人数分で割ったほうがいいんじゃないか、、?と考える。(※ちゃんと探すともう少し安いもの(数千円台)もあった。新宿のヨドバシ現像用品専門館など、専門店で見てみるのが一番かも)
やりたい人いるかな?とSNSで募集してみたところ、3名ほど集まってくれたので(ありがたい)、レンタルスペースを借りて皆で作ってみることに。
ピンホールカメラ会
まずはカメラ本体を作成。わくわく工作パート。
作り方はこちらのサイトが分かりやすいので、作ってみたいひとは参考にしてみよう。わたしは『パターソン』の劇場入場特典かなにかで貰ったかっこいいマッチ箱を使ってみた。ただし後で印画紙を取り出す時に結構な確率で破壊してしまうので、すごい大切な紙箱とかは使わないほうがいいかもしれない。
ポイントは箱の内側を光が反射しないように真っ黒にする(今回は黒マジックで塗った)ことと、穴をきれいに作ること。
ピンホールカメラの箱本体ができたら、暗室で箱の中に印画紙をセット。その後、中に光が入らないように箱を密閉するのも重要。(穴の部分に黒テープなどでシャッターを作るのを忘れずに)
撮影しにいこう!
この日、生憎の雨模様。。印画紙への写り具合は撮影場所の光の強さにも影響されるため、曇っている場所や屋内などではシャッターを開けて露光させる時間を長くする必要がある。結構暗かったので、2分ぐらい露光させてみた。しかしこの露光時間が運命の分かれ目に———
いざ現像本番
現像に必要な液体をキッチンで作成。一応その時のレシピを書いておくと、
①現像液:お湯250mlに、炭酸ソーダ小さじ2杯、インスタントコーヒー小さじ4杯、ビタミンCの粉末小さじ1/2杯を入れて混ぜる。
②停止液:ただの水。
③定着液:250mlのお湯に、固形タイプのカルキ抜きをひと袋の1/4ぐらい入れて混ぜる。
これをバットに入れて暗室へ。ピンホールカメラの箱から撮影済み印画紙を取り出したら、①〜③の液体に順に印画紙を浸けていく。①は像がでるまで、②は適当に(ちゃんと洗えてればOK?)、③は5分〜10分くらい。で試してみた。
この工程が終わったら、最後に印画紙を洗面所でしっかり水洗い(数分はやったほうがいいっぽい)。
これでうまくいけばネガ(つまり、白黒が反転した絵)ができることになる。そうしたら、そのネガを元にしてポジ(白黒が反転しているのをさらに反転させる)を作成して写真が完成。。のはずだったのだが。
海苔。。?昆布。。?
現像した印画紙が真っ暗になってしまった。しかしやり直す時間がなくてこの日はお開きに。言い出しっぺとしては、会としてちゃんと成功に持っていけなくて悔いが残ったが、初対面の人ともわいわい工作できたのは楽しかったです。みんな本当にありがとうー!
帰って昆布化した印画紙を、画像編集ソフトで白黒反転し、コントラストを上げて見てみた。
なんか…”居る”な……。大体同じ構図で撮ったスマホの写真と比べてみると、うっっっすらぼんやり、アノンチャン(自キャラです)のぬいぐるみ部分が発光している?
ということは、撮影と現像のやり方自体は大きく間違ってはいなくて、真っ黒になっちゃったのは露光時間が長すぎたということっぽい?
リベンジ
その後、晴れている日に、シャッターを開ける時間を短くして撮影に挑んだ。1分にしたところやはり真っ黒、一気に減らして5〜10秒程度にしてみたところ。。
なんか写ってる?!
やっぱりこの露光時間の調整が結構シビアで、撮影場所の明るさ、ピンホールカメラの箱の厚みや穴の大きさ等から本来はちゃんと計算してやるべきだった(この文章が参考になりました)。アバウトでもどうにかなるかな?って舐めてました、ピンホールカメラ会に参加してくれたひとたち、本当に申し訳ない。。
しかし、使う印画紙の種類や現像液の精度などその他の要素も出来に絡んでくると思われるので、トライアンドエラーを重ねるしかないのは確か。
というわけで、撮れたぞ!
新宿南口のSuicaペンギンの広場にて撮影してみたのですが、、
完全になんらかの古代遺跡にしか見えない。趣きが出過ぎている。エモこえてA.C.(紀元前)
SHINJUKUってデザインされているチャラいモニュメントも、なんだか禍々しいオブジェに。。
そんなこんなで色々ありましたが、どうにか「物を写す」って所までこぎつけた。今後は、もうちょっと精度を上げるという部分を試行錯誤していきたい。なんとなく勘が掴めたら第二回ピンホールカメラ会も開催したいです。
今回、ここまで手間をかけてでもやってみる価値はあったと思う。ピンホール撮影の面白さは、開けてみるまで結果がわからないということ。現像されて出てきたものは、それだけでも驚きがあってプレゼントのよう。
なんとなく撮る対象のアタリをつけることはできるけど、レンズを覗いて撮影するのとは違って、何が写されるのか、そこには常に少しの偶然性が残されている。
それは「私」の目ではなく、ピンホールカメラの目が見た結果であり、主導権はピンホールカメラ側にある。思い通りにならないところが素敵だ。
やってみたいな色んな会を
ここからは余談ですが、他にもやりたいな~とおもって出来ていない会が沢山あるので発表しておきます。やりたい人がいたら一緒にやりましょう。むしろ誰か開催したら誘ってほしい。
◆in C会
テリー・ライリーという現代作曲家の『in C』という作品がある。50ぐらいの簡単で短いフレーズを、演奏者がその時々に自由に選んでジャムるというもの(恐ろしく雑な説明)なんだが、これ実はプロのクラシック演奏家とかがやるより、素人が集まって「なんか初めて合奏ができちゃった!」という方が面白いんじゃないかと思った。
多くの場合、複数人で何かの曲の合奏をするには自分のパートの一曲分のフレーズやコード進行を覚えて練習しないといけないが、これだったら自分が弾けそうなフレーズだけ弾いてたって良いし、しかもひとつひとつは簡単なフレーズなのだ。
楽器も100均とかフライングタイガーとかでおもちゃのを買ってもいいし(チューニングはシビアになるかもしれない)、スマホのピアノアプリとかでもいいし、キーに合ってる金属を探してきて叩くとか、歌ってもいいので、まったく楽器をやったことがない人が集まったっていい。
というわけで、なんかスタジオとかに集まって合わせてみたいなあという気持ちはある。でも参加者集められるかしら。。
in C演奏方法の参考動画:
◆写生会
写生って小学校の時やったよね校庭で。それ以来やってないので、やってみたくなりました(それだけ)。あと一人で描いてると「やってる人なのかな?」感が出てしまうのでみんなでやれば怖くないし、みんなで良い部分を褒め合おう。
◆シルクスクリーン印刷会
昔、年賀状とか印刷出来るおもちゃの「プリントごっこ」ってあったよなあ、と唐突におもいだして、といってもうちの家庭には無かったので、あれは一体どういった仕組みのおもちゃだったんだろうと調べてみたら、本格的なシルクスクリーン印刷の工程をぎゅっとパーソナルな機構に収めた商品であるらしい。そんなものがおもちゃとして売られていたことに凄みとロマンを感じる。プリントごっこの販売は終了してしまったが、現在はJAMという会社が運営しているスペースでシルクスクリーン印刷体験などが出来るそうなので、一度体験に行ってみたい。
◆EOMうどん会
JO1の『Eyes On Me』という曲の「アイゾンミーアイゾンミーアーイ」という部分のダンスがうどんを踏むのに向いてそうなので、実際にEOMを踊りながらうどんを踏んで実食する会をしてみたらどうか、という友人の発案により水面下で動いている会。興味がある人は気軽に連絡をください。(ちなみに、『ツカメ〜It’s Coming〜』という曲にもうどんを踏むのに向いてそうな動きがある(というかそう思うとうどんを踏む動きにしか見えない)が、その他うどんを踏むのに向いてそうなダンスを知っている人も是非教えてください)
◆猫でも作れる作曲会
いまオンラインで活動中の会。作曲ってできたらいいよね、、っておもって作曲するための色々なきっかけを作るために立ち上げてみました。結局わたしはまだ作曲できてないけど、メンバーはじわじわ増えてきてるので興味がある方は以下のdiscordに参加してみてね。ROM専でもかまわないよ。
明日のぽっぽアドベントは・・
というわけでぽっぽアドベントは25日まで続くよ~。年末に毎日他人の人生浴びれて嬉しいですね。感想は#ぽっぽアドベント2023 のタグでつぶやいてくれると気づきやすいです!
明日はKiEさんが、(G)I-DLEにハマって韓国語を勉強し始めた話をしてくれるみたいです。楽しみ!!
「ピンホールカメラ会をやった」への2件のフィードバック
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